ハクビシンを駆除するうえで、必ず理解しておくべき法律が鳥獣保護管理法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)です。本記事では、ハクビシンに関する規制内容、捕獲許可申請の流れ、外来生物法との関係を整理します。
無許可の捕獲・殺処分は違法
ハクビシンは鳥獣保護管理法の対象種であり、市区町村の捕獲許可なしの捕獲・殺処分は1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になります。被害があっても「自分の家の中に侵入したから」という理由で勝手に処分することはできません。
鳥獣保護管理法の概要
鳥獣保護管理法は、野生鳥獣の保護と適切な管理、狩猟の適正化を目的とした法律です。1918年制定の「狩猟法」を起源とし、現行法は2014年の大幅改正で名称も現代化されました。
対象となる動物
哺乳類・鳥類のほぼすべてが対象で、ハクビシンを含む次の動物も含まれます。
- ハクビシン(ジャコウネコ科)
- タヌキ・キツネ・テン・イタチ
- アナグマ・アライグマ
- シカ・イノシシ・サル
- カラス・ハト・スズメなどの鳥類
※ネズミ類は鳥獣保護管理法の対象外。家ネズミ(ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ)は害獣として直接駆除が可能です。
禁止されている行為
鳥獣保護管理法では、許可なく次の行為を行うことが禁止されています。
- 捕獲(罠・銃器・素手など方法を問わず)
- 殺傷(殺処分・傷害)
- 飼養(飼育目的での所持)
- 巣の破壊
- 卵の採取
違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
合法的に行える「対策」
以下の行為は捕獲・殺処分にあたらないため、合法的に行えます。
- 忌避剤・燻煙剤による追い出し
- ハッカ油・唐辛子など匂いによる追い出し
- センサーライト・ラジオなど音と光による追い出し
- 追い出し完了後の侵入口封鎖
- 庭木の剪定・ゴミ管理など環境改善
- 業者への駆除依頼
捕獲許可申請の流れ
住宅被害でハクビシンの捕獲が必要な場合、市区町村に捕獲許可を申請することになります。
申請の窓口
多くの自治体では環境課・農林課・生活衛生課などが窓口です。お住まいの市区町村役所のホームページで「有害鳥獣捕獲許可」「ハクビシン」などのキーワードで検索してください。
必要書類の例
- 有害鳥獣捕獲許可申請書
- 被害状況の説明資料(写真・図面など)
- 捕獲場所の地図
- 捕獲方法の説明書
- 申請者の身分証明書
- 狩猟免許のコピー(必要な場合)
許可が下りるまでの期間
申請から許可までは2週間〜1ヶ月が一般的です。緊急性が高い被害の場合は、申請時に状況を伝えて迅速対応を相談してください。
防除作業従事者の届出を持つ業者の活用
個人で申請するのが現実的でない場合、防除作業従事者の届出を持つ専門業者に依頼することで、業者が代わりに捕獲許可を取得・管理してくれます。
- 業者は「防除作業の届出」を都道府県に出しており、捕獲・処分の手続きを代行できる
- 個人の捕獲許可申請より迅速に対応可能
- 捕獲後の処分も適法に実施
- 住宅被害に特化した知識と経験を持つ
業者に問い合わせる際は「鳥獣保護管理法に基づく許可・届出はどのように対応していますか」と聞くことで、法令遵守の姿勢を確認できます。
外来生物法との関係
ハクビシンは「外来種である可能性が高い」とされる動物ですが、現時点で特定外来生物には指定されていません。一方、アライグマは特定外来生物として外来生物法で規制されており、より厳しい管理対象です。
| 動物 | 鳥獣保護管理法 | 外来生物法 |
|---|---|---|
| ハクビシン | ○(対象種) | ×(指定なし) |
| アライグマ | ○(対象種) | ○(特定外来生物) |
| タヌキ | ○(対象種) | ×(在来種) |
| ヌートリア | ○(対象種) | ○(特定外来生物) |
狩猟法・狩猟期間との関係
ハクビシンは狩猟鳥獣として指定されており、狩猟免許を持つ人は狩猟期間内(おおむね11月15日〜2月15日)であれば狩猟が可能です。ただし住宅地での狩猟は別途規制があり、自治体ごとに「銃猟禁止区域」などの設定があります。
住宅被害の場合は狩猟期間に関わらず「有害鳥獣捕獲」として申請するのが一般的です。
捕獲後の処分
捕獲したハクビシンの処分方法は、市区町村の指示に従います。多くの場合は次のいずれかです。
- 市区町村指定の場所での回収・処分
- 業者による速やかな殺処分
- 市区町村職員による処分
別の場所への放獣は禁止される自治体が大半です。これは外来種拡散防止と他地域での被害抑制の観点からです。
個人が違反しやすいケース
- ホームセンターの捕獲器を購入して罠を仕掛ける:所持自体は合法でも、無許可使用は違法。
- 「目の前にいたから」と棒で叩く:傷害行為で違反。
- 毒餌を屋根裏に設置する:殺処分行為で違反。
- 捕獲したハクビシンを山に放す:外来種拡散・移送で違反。
- 巣を破壊して子ハクビシンを処分する:巣破壊・殺傷で違反。
まとめ
鳥獣保護管理法の理解は、ハクビシン対策の出発点です。自分でできるのは追い出し・侵入口封鎖・環境改善までで、捕獲・殺処分は市区町村の許可または許可を持つ業者の対応が必要になります。法令を守らない業者・個人対応は罰則のリスクを抱えることになるため、必ず「鳥獣保護管理法対応」を明示している業者と相談しましょう。
よくある質問
Q. 鳥獣保護管理法とはどんな法律ですか?
A. 正式名称は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」。野生鳥獣の保護・管理と適正な狩猟を目的とした法律で、ハクビシンを含む多くの動物が対象になっています。許可なしの捕獲・殺処分は1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
Q. ハクビシンの捕獲許可は誰でも取れますか?
A. 個人で住宅被害を理由に申請することは可能ですが、申請書類の作成・狩猟免許の有無・実際の捕獲作業の安全管理を考えると現実的に難しいケースが多く、防除作業従事者の届出を持つ業者へ依頼するのが一般的です。
Q. 外来生物法との関係はどうなっていますか?
A. アライグマは特定外来生物として外来生物法でも規制対象ですが、ハクビシンは現時点で特定外来生物には指定されておらず、鳥獣保護管理法のみで管理されています。ただし、外来種である可能性が議論されており、自治体によっては独自の管理計画を持つ場合があります。
Q. 捕獲したハクビシンはどうしますか?
A. 捕獲したハクビシンの処分方法は市区町村の指示に従う必要があります。多くの自治体では「速やかに殺処分」を指示しており、別の場所への放獣は外来種拡散の観点から原則禁止です。具体的な処分方法は申請時に必ず確認してください。
Q. 違法行為にあたる具体例は?
A. (1) 市区町村の許可なく罠でハクビシンを捕獲する、(2) ハクビシンを毒餌・撲殺・銃器で殺処分する、(3) 傷害を負わせる、(4) 巣を破壊する、などが違法行為にあたります。これらは1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象です。